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【多摩 企業法務】労働裁判例紹介01

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【多摩 企業法務】労働裁判例紹介01

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2022/01/26

岡本土木・日鉄パイプライン&エンジニアリング事件

元請企業の下請企業労働者に対する安全配慮義務

労働経済判例速報通算2465号に掲載された、岡本土木・日鉄パイプライン&エンジニアリング事件(福岡地裁小倉支部令和3年6月11日判決)について説明します。

この事件は、工事現場で負傷した作業員が、当該作業員の使用者である岡本土木株式会社と、作業員が負傷した工事の元受け事業者である日鉄パイプライン&エンジニアリング株式会社に対して、それぞれ安全配慮義務違反が存在するなどとして連帯して損害賠償等の支払いを求めたものです。

1.安全配慮義務

労働者を雇用している使用者には、労働者を安全に労務に従事させる義務があり、これを安全配慮義務ということがあります。

労働者が労務提供中に事故などに合って損害を負った場合には、労災保険の給付が問題になるだけでなく、労働者が使用者に対して直接損害賠償を請求することがある、ということはよく知られているのではないでしょうか。

このような安全配慮義務が、労働者と直接雇用関係がある使用者との間で発生することについて、多くの経営者はご存じかもしれません。

しかし、上記の事例でいう日鉄パイプライン&エンジニアリングのような元請事業者についても、直接の雇用者と同様の安全配慮義務が発生するのでしょうか。

2.考え方

確かに、元請企業と下請企業の労働者(従業員)との間には、直接の労働契約はありませんが、実質的に元請企業と下請企業の労働者とが、直接の指揮命令を受けているなどの関係であれば、下請企業の労働者の安全に対して、元請企業が配慮する義務を認めてもよいように思われます。

上記事件においても、裁判所は、

「元請企業と下請企業の労働者との間には、直接の労働契約はないものの、下請企業の労働者が労務を提供するに当たって、元請企業の管理する設備、工具等を用い、事実上元請企業の指揮監督を受けて稼働し、その作業内容も元請企業の労働者とほとんど同じであるなど、元請企業と下請企業の労働者とが特別な社会的接触関係に入ったと認められる場合には労働契約に準ずる法律関係上の債務として、元請企業は下請け企業に対しても、安全配慮義務を負う」

とされています。

このように、元請企業であっても、下請企業の労働者との間で、安全配慮義務を負う場合があり得ます。

それは、下請企業の労働者の損害を賠償する責任が発生することがあり得る、ということです。

3.本件における帰結

本件においては、裁判において認定された事故当時の現場の作業状況などから、原告である作業員(労働者)と、元請事業者との間には、そのような関係はなかったとして、原告の元請事業者に対する請求は全部棄却されています。

4.労災等の請求をされた・されそうな場合

当事務所は、労災等の請求をされた場合についても、使用者を代理して交渉・訴訟等を行っております。詳しくは、業務内容紹介のページをご覧ください。

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