【論考掲載】労政時報に記事が掲載されました
2024/10/08
1.労政時報
主として労務担当者向けの専門誌の一つに、株式会社労務行政が発行する、「労政時報」があります。
同誌の表紙には、「人事・労務の課題解決メディア」とあり、各社の人事・労務関連課題への対応を取材・掲載している雑誌です。
この労政時報には、相談室Q&Aというコーナーがあります。このコーナーは、各読者から集められた質問に対して、専門家が見開き2ページで回答するものであり、各号8つほどの質問が掲載されています。
今般、労政時報の最新号である第4084号に、当事務所の弁護士増田(以下、私といいます)による記事が掲載されましたので、ご紹介します。
2.記事の概要
当該記事は、「顧客ではない社外の第三者から、社員が言いがかりとなるような形で暴行・暴言を受けた場合、カスハラとなるか」と題する質問に回答するものです。
同質問の内容は、簡単に言えば、業務中に、顧客でない者(通行人など)から暴行・暴言を受けた場合、カスハラに該当し、労災の対象になってしまうのか?というものでした。
これに対する私の回答は、概ね次の通りです。
業務中に通行人などから暴行・暴言を受けた場合、それが労災になることはもちろんですし、今後はその原因がカスハラであったと分類されることにもなるでしょう。しかし、ある行為がカスハラといえるかを論じることにはあまり意味がなく、カスハラという行為があり得ることを前提に、就業環境を改善していくこと(安全な就業環境を確保すること)が何より重要である。
上記の考えについて、このブログの読者の方にも補足的に説明しておきましょう。
3.カスタマーハラスメントについて
ここまで説明なく使っていましたが、「カスハラ」とは、カスタマーハラスメントの略で、顧客等から高圧的な態度を受けるなどした結果、労働者の心身が害されるという状況を表します。
今般、厚生労働省の労働災害の認定基準の改定に、カスタマーハラスメントが、精神的な健康を害する労働災害の原因となりうるという趣旨で盛り込まれました。
これを機に、多くの事業者がカスハラへの対策を行ったというニュースが多く流れています。
そのため、一般的には、パワハラやセクハラと同じように、カスハラというものへの対策が新しく必要とされるようになってきている、という理解をされることが多いと思われます。
そのような中で、最近になって、カスハラという行為をする顧客等が出現したというように勘違いする方は多くおられます。
しかしながら、現在、カスハラと呼ばれる行為をする方は従前から一定の割合でいたと考えられますし、本来であれば企業もこのような行為をする方から従業員を守るべき義務を負っていたと考えられます。
したがって、カスハラという新しい行為にも対策をしなければならないという考えではなく、従前から問題とされていた行為について、カスハラという呼称が定められ、これを発見しやすくなったのだ、と理解する方がよいでしょう。
という趣旨の論考となっています。
4.他の質問について
同号には、他にも面白い質問が掲載されていたので、質問のみを簡単に紹介します。
・36協定の協定時間や特別条項の有無が異なる事業所に移動させることは問題か
・配点予定の社員が育児休業取得の申し出をした場合、どう配慮すべきか
・会社で実施する避難訓練を拒む社員を懲戒処分することは可能か
・時間外労働が45時間を超えた社員に始末書を提出させることは問題か
・グローバルモビリティポリシーを作成するうえでどのような留意点があるか
・管理監督者の役職手当に含まれた深夜割増相当分の支給を廃止することは問題か
・飲み会等に出席した時間に対し残業代を支払う必要はあるか
というものです。
通常の規模の書店には入荷がないと思われますので、もし気になった方は、ぜひ労政時報のHPなどをチェックしてみてください。
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