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【多摩 労働問題】労働裁判例紹介02:寝てましたけど残業代は払ってください。

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【多摩 労働問題】労働裁判例紹介02:寝てましたけど残業代は払ってください。

【多摩 労働問題】労働裁判例紹介02:寝てましたけど残業代は払ってください。

2022/02/04

寝てましたけど残業代は払ってください。

福岡地裁小倉支部(令和3年8月24日)判決 労働経済判例速報NO.2467

本日は、泊まり込み時間の労働時間該当性が問題となった、上記判決(グローバル事件)についてご説明します。

なお、タイトルを「寝てましたけど残業代は払ってください。」としていますが、これは耳目を引くためにあえて設定したものであり、本件の事件の当事者がそのようなことを言ったわけではありません。

1.事件の概要

本件は、障害のある方向けの就労移行支援施設、グループホーム、自立準備施設等を運営する株式会社に対し、当該施設で働いていた原告らが未払い割増賃金の支払いを求めて提訴したものです。

原告らは、平日の間、就労支援施設での業務(午前9時から午後4時まで)を終えた後、グループホームに移動し、そこで寝泊まりしていたということでした。

そこで、グループホームで過ごしていた午後4時から、就労支援施設での翌日の勤務が始まるまでの間について、原告らの労働時間として考えるべきかという点が争点になりました。

2.労働時間の判断

翌日の始業が早い、何か問題があればすぐに対応しなければならないなどの理由で、職場に泊まり込むということがあります。

このように泊まり込みを行い、あるいは仮眠などをしている時間について、労働時間としてカウントする必要があるでしょうか。

翌日の始業が早いから職場で寝泊まりすることが可能にしている場合で、前日の終業から始業までの間に、特にやるべきことが無いという場合、労働時間としてカウントしなくてもよさそうな感じはします。

しかし、3時間ごとに見回りをし、呼び出しがあればすぐに応じなければならないような場合は、その時間について全く労働時間としなくてよいとは考えにくいでしょう。

このような、明確に労働時間とは言いにくい場合を想定して、判例は、労働時間について、「労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる」(最高裁平成12年3月9日判決・民集54-3-801)としており、本件においてもこの基準をもとに労働時間性の判断がされています。

そして、実作業に従事していない不活動時間であっても、労働からの解放が保障されていない場合には労働基準法上の労働時間に当たるとされています。

3.本件での判断

本件では、(1)平日の午前6時~午前8時30分、(2)平日の午後4時~午後9時、(3)平日の午後9時から翌日の6時という具合で、労働時間性の判断がされています。(休日についても判断がされていますが、省略します)

(1)平日の午前6時~午前8時30分

原告らは、利用者のトイレの介助などを行うことがあり、これらの対応は被告の業務の範囲に属する労務であること、原告らには、利用者の対応をしていない不活動時間もあると考えられるが、利用者から対応を求められるタイミングはあらかじめ明らかになっておらず、不活動時間であっても必要であれば労働契約上の役務の提供が義務付けられていたとして、朝食等の時間30分を除いて労働時間と認定されました。

(2)平日の午後4時~午後9時

原告らは、支援記録を書いたり、夕食の配膳等を行ったりする他、利用者の入浴の見守り、介助を行っていたことから、これらの時間は労働時間にあたる。それ以外の不活動時間においても、介助等の利用者対応を求められるタイミングはあらかじめ明らかになっておらず、不活動時間においても、必要があれば利用者対応をすることが予定されていたといえるから、労働時間に当たる、とされています。

ただし原告ら自身の夕食や入浴の時間は労働から解放が保障されているといえるから、1時間は労働時間ではないとされました。

(3)平日の午後9時から午前6時

原告らは、利用者が相談をしてきたときや、トイレの介助を頼んできたときは、宿直担当者に起こされ、利用者対応をしていたから、これらの時間は労働時間にあたる。それ以外の不活動時間についても、必要があれば起きて利用者対応をすることが予定されているといえるから、労働時間といえる、と判断しています。

4.検討

この施設では、原告らとは別に宿直担当がいたようですが、宿直担当は利用者対応はせず、利用者対応は原告らが行っていたようです。

どうしてそのような役割分担になったのかはわかりませんが、利用者からの求めがあれば起こすという形では、労働からの解放があるとは言えません。

その結果、かなり長時間の労働時間が認められ、原告らに対して(付加金を含めて)相当高額な請求が認められています。(約1700万円、約3000万円)

泊まり込みを従業員が行っている施設は少なくないでしょうけれども、労働時間制について一度検討する必要があるでしょう。

5.相談

当事務所では、こういう場合残業代を支払わなければならないか、といった相談にも対応していますので、お気軽にご相談ください。

また、オンラインでも相談をうけつけることができます。

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