【多摩 労働 企業法務】業務委託であれば大丈夫?
2022/01/31
1.あいさつ
こんにちは。弁護士の増田周治と申します。東京都東大和市で法律事務所を経営しています。
弁護士登録依頼、労働紛争の会社側代理人を務めることが多いですので、従業員の方を抱える経営者さんに役に立つ内容を投稿していきたいと考えています。
2.「この人には、業務委託でお願いしようと思っているんですよ」
経営者の方とお話をしていると、よく言われる言葉です。
業務委託でお仕事をお願いすること自体は選択肢として当然あるでしょう。しかし、経営者の皆さんにお聞きすると、この言葉には次のような意味が含まれていることがあります。
「労働契約を結ぶと、労働者として保護されるため、残業代を支払う義務や解雇の規制が発生してしまうが、業務委託であればそのようなことはない」と。
実際には、契約書の名称によって、労働者として保護されるか、労働者として保護されないかが決まるわけではありません。
それでは、どのような基準で、労働者として保護されるかどうかが決まるのでしょうか。
3.労働者としての保護
労働者として保護される、とは、どういうことでしょうか。
多くの場合、その方に、「労働基準法が適用されるか」ということになります。
労働基準法は、労働を行う人の労働条件の最低条件を定めた法律であり、日本の事業所で働く労働者に適用されます。
労働基準法が適用される方のことを、法律用語で労働基準法上の労働者といいます。
この労働基準法の労働者とは、事業に使用され、賃金を支払われる者とされています。
定評のある体系書である、菅野和夫「労働法」(第12版、2019年、弘文堂)によれば、
この基準は監督行政や裁判例において「使用従属関係にあること」と表現され、仕事の諾否の自由、業務遂行上の指揮監督、時間的・場所的拘束性などを主要な判断要素とする、当報告があるとされています(同書187頁参照)。
要するに、仕事を断れず、業務遂行上指示を出され、時間的・場所的にも拘束されるという場合には、たとえ契約の名称が業務委託契約だったとしても、労働基準法上の労働者として、労働時間の上限などの規制がかかってくる、ということです。
4.まとめ
このように、ある仕事を誰かにやってもらうにしても、契約の内容が業務委託なのか、労働契約なのかによって、使用者側の法律的な状態が変わります。業務委託契約と題して、自社に有利な契約を提示しているだけでは、実際は労働契約であるとして、残業代の支払い義務が発生したりする場合があります。
このようなことにならないためには、業務の設計の時点で専門家に内容をチェックしてもらうことが非常に有用です。
この記事が、皆様のお役に立ちましたら幸いです。
当事務所の労働問題対策・法務パートナーとしての活動についてはそれぞれリンクをご覧ください。
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