【多摩 企業法務】今日から従業員としてよろしくお願いします。
2022/03/18
【多摩 企業法務】今日から従業員としてよろしくお願いします。
偽装請負を原因とした、派遣労働者に対する労働契約申込みなし制度
1.はじめに
平成後期の労働環境の変化は、労働者派遣の広がりとともに訪れた、という面があります。多くの会社が、派遣労働者を取り入れ、派遣会社は急成長を遂げました。
その後、実態は労働者派遣契約であるが、当事者間の契約が請負契約になっているという偽装請負などと呼ばれる問題が注目されました。
現在では、偽装請負を行った事業者に対して、私法上の効果を直接もたらすような崩壊背がされていますのでそれをご説明します。
2.派遣と請負
労働者派遣とは、派遣元会社が、派遣先の会社に、労働者を派遣する、というものです。どうして、請負と派遣の違いが問題になるのでしょうか。請負においても、請負会社が、人員を、発注会社の現場に常駐させ、成果物を作り上げるということがあります。
ここで、労働者派遣と、上記のような請負とで、自社の社員を他の会社の職場に常駐させて働かせる、という部分が共通するわけです。
このような状況で、実際には労働者派遣にあたる行為を、請負であるとして、労働者派遣法上求められる措置などを取らずにいると、労働者派遣法が派遣労働者を保護するために設定した規制が機能しなくなります。
そのため、実態は労働者派遣であるのに、請負であると評価されるような行為を行うことは問題とされるわけです。
このように、実態としては労働者派遣だが、それを請負として労働者派遣法の規制を潜り抜けることは、偽装請負などと呼ばれました。
ある職場において、その会社の従業員でない者が稼働している場合、実態に従って労働者派遣か、請負かが判断されることとなり、その重要な判断基準は、労働者が会社の直接の指示に従っているか(会社が直接指示を出しているか)、ということとなっています。
3.労働者派遣法40条の6第1項5号
上記のように、実際には労働者派遣だが、請負を行っている場合には、労働者派遣法に違反に対する行政上の制裁が予定されていました。近年、これに加えて、派遣先の事業主に対して、当該労働者を直接雇用する義務を負わせる法改正がされています。
これが、労働者派遣法40条の6第1項5号であり、労働者派遣法等の適用をまぬかれる目的で請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、派遣労働契約の内容を定めずに労働者派遣を受けた者について、当該労働者に対して、労働契約締結の申し込みをしたとみなす、というものです。
実際に、この規定を適用して、労働契約の成立を認めた裁判例も出現しています(大阪高裁令和3年11月4日判決・労働経済判例速報2470号)。
4.終わりに
このように、労働者派遣法と請負契約との関係について、理解しないままでいると、知らぬうちに、請負で出入りしていた労働者の方が、自社の従業員になっているという事態に遭遇しかねません。
そのような事態を防ぐためには、専門家の意見を聞きつつ経営の意思決定をすることが重要です(法務パートナー)。
当事務所では、オンラインで相談をお受けする体制を整えていますので、お気軽にご相談ください(オンライン)。
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