【多摩 企業法務】育児・介護休業法改正のポイント
2022/03/16
【多摩 企業法務】育児・介護休業法改正のポイント
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1.はじめに
育児介護休業法が令和3年に改正され、令和4年4月1日から段階的に施行されます。
中小企業の経営者として、どのような内容の改正がされたのか、対応をすべき事項は何か知っておく必要があります。そこで、今回は、厚生労働省の資料を中心に、育児・介護休業法の改正のポイントを簡単に説明します。
※ 従業員1000人以上の企業に課せられる、育児休業取得状況の公表の義務化については省略します。
2.育児・介護休業法の改正のポイント
(1)雇用環境の整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化
事業主は、
①育児休業・産後パパ育休((3))に関する研修の実施
②相談窓口の設置
③自社の労働者の上記休業取得事例の収集・提供
④自社の労働者への育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
のいずれかの措置をとることが義務付けられます。
なお、厚生労働省のパンフレットにおいても、複数の措置を講じることが望ましいとされています。
実務上は、自社の育休に関するカルチャーを発信するために、④を最初に行い、事例が出始めれば、③を行うというのが、負担の少ない方策と考えます。
(2022年4月1日施行)
(2)有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
育児休業についてご説明すると、これまで、有期雇用労働者について、引き続き雇用された期間が1年以上でなければ法定の育児休業をとれなかったのですが、この要件が廃止されました。
ここで、無期雇用労働者(期間の定めのない契約を締結している労働者)について、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者については、労使協定の締結により育児休業を取得する権利を得られないこととすることが可能ですが、有期雇用労働者についても同様に労使協定の締結により上記の除外の対象とすることができるようになりました。
この労使協定について、有期雇用契約労働者を含めた内容として再締結する必要があるかについて、反対論も多いですが、厚生労働省のQAをひとつの根拠として、実務上必要と解されているようです。
(2022年4月1日施行)
(3)産後パパ育休の創設
産後パパ育休は、育休とは別に、この出生後8週間以内に4週間まで取得可能であり、分割して2回取得可能です。
この産後パパ育休においては、労使協定を締結していることを前提に、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能であるという点がこれまでの育休制度の考え方とは異なるところです。
つまり、産後すぐの母体に負担のかかる時期、仕事に穴をあけられない事情があっても何とか休んで母親を支えてもらおうという制度設計となっています。
就業ができるといっても、その期間中の就業には上限があります。
(2022年10月1日施行)
(4)育児休業の分割取得
今回の改正から、育休は2回に分割して取得できるものとなりました。この点、現行の制度では、父親について分割して取得することができるが、母親は分割して取得できないという制限がありましたが、より柔軟化したといえます。
柔軟化したのはよいのですが、制度自体がかなり複雑になってしまい、自社で設定した育児休業の内容が法定の内容を上回っているのか、運用上あやまって法定で認められている休業を拒否してしまわないかについてより慎重に判断する必要が出てきています。
(2022年10月1日施行)
3.まとめ
以上の通り、育児休業制度は、より男性も取得しやすく、会社が取得させない理由をできるだけなくすように改正がされています。
このような改正に時機に応じて対応することは当然重要ですが、法律が改正されたから自社の整備もするということではなく、法律の改正に現れた、世の中の変化に合わせて、自社の制度を、先手を打って変更してしまう、という検討も必要であると考えます。
そのような長期的な展望に関する相談を、当事務所においても受けておりますので是非一度ご相談ください。(法務パートナー)
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